お知らせ News

無痛分娩の報道について

安全な無痛分娩を目指して

 我が国の妊産婦死亡率は0.003%(10万人の妊産婦に対して3人)であり、安全性は世界でもトップクラスです。しかし分娩中は産科ショックと云われる予期せぬ大量出血や突然の羊水塞栓等が起き、これを0%にすることは産科医療が目指す究極の目的でありますが、現実的には極めて難しい。この様な中、残念なことに今春以降、無痛分娩をしていた妊産婦の死亡や重い障害が残る事例が相次いで発覚し、その安全性が危惧されています。
 麻酔科学の飛躍的な進歩が、高齢者や小児あるいは拡大的な手術医療を可能にしたことは周知の事実ですが、麻酔は一歩間違えれば重大な事象を引き起こすことも事実です。それ故、麻酔に不安感を持つ人が多いのも頷けます。「手術はさほど怖くないが、麻酔は危険で怖い」私達医師が患者さんから良く耳にする言葉で、麻酔は事程左様に以前から危険視されています。
 無痛分娩を含め手術麻酔は本当に危険なのでしょうか?日本麻酔科学会の統計では、麻酔科医が直接的に関与した手術麻酔では、数万人に1人命にかかわる合併症が起こる程度で、旅客機が墜落する確率と同程度とされています。特殊なケースを除き麻酔事故の多くは、稚拙な知識と管理ミスに基因するものが殆どです。 従って、正しい知識と的確な技術で麻酔管理がされるならば、他の医療行為と比べても安全性には遜色がないものと考えています。
 発覚した無痛分娩の事故についての詳細な経過を知ることは出来ませんが、報道を読む限り硬膜外麻酔の知識と技術そして麻酔管理に問題があったのではないだろうか? 前述した如く正しい知識に裏付けされた麻酔の安全性は高いが、一旦誤れば、重篤な状態になるのが麻酔の怖さであり、その怖さを無痛分娩に携わる医師がもっと認識すべきである。
 当院は他院に先駆けて長年無痛分娩に取り組み、各医師は麻酔知識と技術の研鑽を積み、スタッフ全員で安全安心な無痛分娩に取り組んでいます。今まで事故症例が一例もないのが当院の誇りです。
 欧米先進国と比べ無痛分娩数はまだまだ少なく、これらの悲惨な事故によって、漸増傾向にある気運が堰き止めされれば、「痛みは母になる試練」とされて痛みからの解放はまたまた遅れてしまう。長年硬膜外無痛分娩に取り組んできた私としては、硬膜外無痛分娩が危険視されるのが残念でならない。
 妊婦さんのニーズだけで安易に無痛分娩に取り組むのではなく、医師は緊急時の対応を含め指導者から麻酔トレーニングを充分に受け、同時にスタッフの安全教育を徹底し、医療施設の体制を整えてから行うべきである。
 無痛分娩は麻酔の中でも特殊であり、サブスペシャリティーとしての認定制度が必要と思われます。

2017.10.20
名誉院長 島田 洋一

無痛分娩の報道について

ネットニュース等で『麻酔使った「無痛分娩」で13人死亡…厚労省、急変対応求める緊急提言』と言うニュースが配信されました。
ご覧になった方は不安になったと思われますが、当院では、急変時に対応できる体制を整えております。
安心してご来院ください。

2017.04.19